久々嘘日記:メール風

 はじめまして。突然のメールでごめんなさい。驚きましたか。それともちょっと気味が悪いと思っているかもしれませんね。誰だって、知らないアドレスから突然メールが来たら、警戒しますよね。でも怖がらなくて大丈夫です。私はただあなたにメールを送ってみたかっただけで、別に何かしてやろうなんて気は全然無いんです。
 私があなたのメールアドレスを知ったのは、本当に、全くの偶然だったんです。たまたま私の知り合いがあなたの知り合いでもあり、私はその知り合いからあなたのメールアドレスを教えてもらって、今こうしてメールしているのです。
 本当はこんな突然のメールは失礼な事だとわかっているのですが、どうしてもあなたにメールを送ってみたいという気持ちが抑えられずに、今こうしてメールを打っています。
 今、あなたは何をしていましたか? いつもだったらこの時間は夕飯を食べ終えてテレビを見ている頃ですよね。それともちょっと早いシャワーを浴びている最中だったでしょうか。今日は会社で随分叱られていたみたいですし、帰って夕飯よりも先にシャワーを浴びているのかもしれませんね。あなたって嫌な事があるとすぐシャワーを浴びるみたいですから。
 ああ、奥さんがいない事を気にしているんですか。心配しないでください。彼女ならさっきまで私の家にいましたから。彼女にあなたのアドレスを聞いたのです。でもね、これは余計なお節介かもしれませんが、あの女はあなたには似合いません。あなたが会社に行っている間あの女が何をしているか知っていますか。あなたが会社で頑張って働いているというのに、あの女はろくに家事もせずテレビを見たり英会話教室に通ったり近所の友達と遊んだりしているのですよ。それでいながら夕飯は出来合いの物ばかり。あなたが可哀想です。
 だから私考えたんです。これからは私が夕飯を作ってあげようって。テーブルの上にあったご飯、食べてもらえましたか。あれ、私が作ったんですよ。我ながら中々の味だと思います。そうそう、寝室のシーツも変えておきましたから。それと穴の空いた靴下は全部捨てて置きました。あんな靴下を履いているなんて、私が恥ずかしいですもの。
 大丈夫、今ちゃんと新しい靴下を買ったところです。あと十分位で戻れると思いますから、それまで待っていてくださいね。

うーんだめだこりゃ。