イタリアが強かったのか?

確かにイタリアは強かった。ある程度ボールを持たせ、さらにかなり決定的に見えるシーンまで作られた試合が多かったが、そういったシーンでことごとく最後の最後のゴールを割らせる事はなかった。
ようするに、どれだけボールをキープされようが、どれだけシュートを打たれようが、どれだけ良いプレーをされようが、ゴールを割らせる事さえなければ負けないというスタイルである。
しかし、今大会のイタリアを「カテナチオが変わった」「攻撃的」と評する人が多いようだが、それには抵抗がある。
3トップに見えて、その実は2トップとトップ下以外は下がるという今までのイタリアと大して変わらない場面が多い。
下がり過ぎないから攻撃的に見えるが、実は中盤の選手が中盤からきちんとコースを消して守備をしているから、下がっていないというだけに過ぎない。
進化し、変わったかのように見えて、その実はこれまでの古典的イタリアサッカーと大差ないのだ(ピルロなどのプレイヤーによりレベルアップはしているが)。
そのイタリアをなぜ各国倒せなかったのか。
理由は単純に、力不足である。
ボールを回し、ペナルティエリア付近まで運んで攻めるも、最後の一手を決めるだけの力のあるチームが少なかった。
決勝トーナメント一戦目のオーストラリア戦から、イタリアはいつまけてもおかしくない試合をしていたし、試合内容だけを見れば最後の最後ギリギリのところまで劣勢で負けていた試合が多かったと思う。
そのイタリアが優勝できたのは、イタリア自身の強さももちろんだが、周りのチームの力の低下もあるのではないか。例えばフランスは98年の時と比べ、個人の力では明らかに劣っている。
まぁ、優勝した国がイチバンと決められていることなので仕方のない事だが、決して「イタリアのサッカースタイルが最強」などとは思って欲しくないなぁ、と、そう願う。