テスト前にメモ〜「時をかける少女」

筒井原作と謳わなければ、それなりに面白いアニメだったのかもしれない。
筒井原作=SF宣言 なので、SFファンとしてはどうにも納得のいかない駄作としか言いようがない。
雰囲気自体は好きだし、『耳をすませば』とかに通じる「雰囲気を楽しめる人が楽しめば良い映画」なのだろうけど、そこにSF宣言入れちゃダメだ。


以下大人げないと思いつつ突っ込み

その1

前提)時間跳躍を行った際、記憶を保持するのは跳躍者本人のみ
(A→Bという時間経過において、B地点からA地点まで時間跳躍を行った場合、A→Bの間の記憶を持っているのは、跳躍した人間のみである。
簡単に言えば、7月31日の時点で、7月1日までリープして戻ったとして、7月1日から7月31日までの出来事は「なかったこと」となり、それを実際に体験したのは時間跳躍者のみとなる《時間跳躍者のみ、二度目の7月を体験することになる》)
これは作中、主人公がリープした際に他の人はA→Bのことは「体験してないこと」となり記憶を保持していないことから明らか


故に、主人公が「自分が最後のリープを使用した」という記憶が残ることはない。
(『最後のリープを使用した』という事象が起こる前まで、他者の手によって戻っているから)


エンタテイメントとして見た場合、観客はおそらくここでカタルシスを得るわけだが、まずその前提からして崩壊しているからSF的には駄作としか言いようがない。
もちろん主人公の記憶が残っていたことに関して色々説明をつけることは出来るが、作中語られなかったという意味では、それは最早『そういう特異体質でした』というのと変わらないレベルの話である)


主人公が時間跳躍して(観客と時間跳躍者視点で)時間が戻った場合、千昭や周りの人間がその間の記憶を失っているように(というよりも正確には、『体験する前』に戻っているのだから記憶がなくて当然)、千昭が時間跳躍したならば、主人公には「最後の1回を使用した」という記憶すら残らないわけである。それを知れるのは時間跳躍した者のみであり、あの場合時間跳躍したのは千昭なのだから。
(現に最後のシーンで、主人公がタイムリープを使用したため、千昭は自らの秘密を主人公に話したことを覚えていない)


よって、「千昭が巻き戻したから主人公の残りリープ数が0回から1回に戻って、それで救われるってのは良くできてるなぁ」ってのまでは良いとして、「主人公が0回から1回に戻っていることに気づいて歓喜する」ってのはあり得ないわけである。

その2

1回なかったことにした地点まで戻れるのはおかしいべよ


仮にあなたが時間跳躍能力を持っているとする。
あなたは7月15日に花を預かって、7月20日から水をやるのを忘れて、7月25日に枯れて、7月26日に枯れたことが花の持ち主にバレて怒られた。
ここで、7月20日までリープして戻って、毎日ちゃんと水をあげたとしたら、7月25日に花が枯れることも無くなり、7月26日に怒られることもなくなる。
ところがあなたは、花を枯らしていなかった功績を認められ、よりたくさんの花を預かるハメになってしまった。
「あー、まいったなー。こんなんなら枯らしておけば良かったなー」と思ったあなたは、花を枯らしてしまおうと思い、再び時間跳躍した。


上記の場合、7月25日に戻ったとしても、花は枯れていない。
なぜなら7月20日から25日まで、あなたは、「花に水をやっていた」ことになっていて、「花に水をあげなかった」というのは起こらなかったこととなっているからだ。
もちろん、あなたの主観においては「7月20日から25日まで水をあげなかった」という記憶が存在するが、それはあくまであなたの主観時間においてのみであり、「水をあげなかった」という出来事は、一度あなたの時間跳躍能力によって上書きされ、「水をあげた」という事実に書き換えられているわけである。


つまり、7月12日にプリンを食べたなら、その後何度7月13日に戻っても「プリンを食べた次の日」であり、「プリンを食べた」という事実を変えたいのであれば、7月12日以前に戻って「プリンを食べた」という事実を無かったことにしなければいけないのである。
同じように、「7月13日の授業中に、自分が天ぷらを揚げる時にボヤ騒ぎを起こした」という事実を「7月13日の授業中に、友達が天ぷらを揚げるときにボヤ騒ぎを起こした」という事実に改変したのであれば、その後何度7月13日の放課後に戻っても、それは「友達がボヤ騒ぎを起こした」という時間軸の延長であり、「友達がボヤ騒ぎを起こした」という事実を変えたいのであれば、7月13日の授業中あるいはそれ以前に戻るしかないのである。


この辺の考察が甘すぎるのが非常に難点。

その3

言い出したらキリがないし、本気で勉強しないとヤバい時間なので以下略

あーテスト前かぁ

というわけで、テスト終わってからこの辺一人で考えて楽しむ予定。
民放でお金払わず見ただけなのに偉そうに否定してるなぁ、俺。


いや、エンタメアニメ映画としてみたら別にアレでいいんだと思いますよ。
ただ、筒井ファン、SFファンとしては、アレにSFを名乗られるのはイヤというか。
藤子Fみたいに、「SukoshiFushigi」としてのSFならいいんでしょうけど。


おそらく「タイムリープ」ってとこからはてなが勝手にリンク貼るであろう、高畑なんだったかの『タイムリープ』って小説の方が、ライトノベルの割に、タイムパラドックスタイムリープの設定がしっかりしてて、SF的にはこっちの方がアリでした。
筒井原作、高畑タイムリープ、映画「時をかける少女」という三つで比較しちゃうからダメなわけで、原作も何も言わず名前だけ時をかける〜を使用した青春映画にしとけば、SFファンから叩かれることもなかっただろうに。

追記

ネットで評判ここまで良くなけりゃ、別に期待もしなかったし見もしなかったんだろうけどね。
ここまで評判いいと「どんなもんよ」と思って、「んじゃツタヤで借りるかぁ」と思ってたところに民放放送。
「うひょーアジアカップあるし映画あるしで、今日はもう勉強できねぇ!」と思ってまで見てたら、ガッカリという。
しかもPKシーン若干見逃したし。
PK見逃してまで見たんだから、ネットの評判通りの感動与えてくれるのかと思ったら、クソSFぶりに憤慨して勉強もせずに就寝。
という一連の流れあって、勢いに任せて書いたけど、多分テスト終わったら忘れてるからいちいち検証したり考察したりしないんだろうなぁって程度のアニメ映画。

さらに追記

多分言っちゃいけないこと。

  1. 事故起こさないようにリープ出来るなら、そもそもクルミみたいな変なの無くす前に戻れば万事解決じゃね?
  2. 千昭のリープ回数を増やすために戻ったなら、そこで千昭に全部話す必要なくね? 黙ってりゃ千昭はのんびり絵を見てから未来に返って目出度し目出度しじゃね?
  3. そもそも高校入ったりしないで、補修作業終わる頃にリープして、絵を見てとっとと返ればよくね?
  4. 未来に戻るの前提なのに、彼女作ろうとしてたのかよ。ひどくね?
  5. 人の気持ちをもてあそぶのは良くないとか言ってた主人公が、平気で恋敵の前で、リープ能力を利用して先に好きです宣言しちゃうのってダメじゃね?
  6. 結局、頭空っぽにしてみれば爽快な青春映画だけど、実は登場人物のほとんどがすげぇ酷い奴ばっかじゃね? 特に主人公。
  7. そもそもオタク以外は見てないんだから、ここでこんな吼えても無駄じゃね?