僕が好きだったもの

僕がティーンエイジャーだった頃、僕は鶴田謙二が好きだった。
色んな漫画を読みあさっていたけど、十代も後半になるにつれ、鶴田謙二こそ最高だと考えるようになった。
だが彼の漫画は、その漫画家生活と比べて少なすぎた。


僕がティーンエイジャーだった頃、僕は森博嗣が好きだった。
新本格ブームからS&Mシリーズを読み、その合間の短編集を読んで完全にはまった。
サリンジャーを好きな小説家の一人に挙げる彼を好きにならない理由がなかった。
森ミステリがキャラクタ小説化してマンネリ気味だった時期にもかかわらず、スカイ・クロラは素晴らしかった。


僕がティーンエイジャーだった頃、僕は押井守が好きだった。
押井の攻殻が好きだった。犬狼伝説が好きだった。
サンサーラ・ナーガも好きだった。


鶴田謙二が、スカイ・クロラの表紙イラストを描いたとき、「鶴田謙二の絵は好きだけど、スカイ・クロラはやっぱり空の表紙の方がいいな」と思った。
押井守が、スカイ・クロラの映画監督をしたとき、「押井守の映画は好きだけど、スカイ・クロラはやっぱり小説の方がいいな」と思うかもしれない。