トランスジェンダーについて疑問に思っていることを書いてみる
前のエントリで、男女がどうこうだのを書いたので、トランスジェンダーに関して最近疑問に思っていることを書いてみる。
前のエントリでリンクしている方は、レズビアンであってトランスジェンダーではないようなので勘違いしないように。
単に書いてたら思い出したから書くってだけ。
異性装ってそんなに嫌か？
トランスジェンダーの友人と話したり、ジェンダー話をしている時に話題に挙がったりするのだけれど、異性装ってそんなに嫌か？
「自分は女性or男性だと性自認しているのに、男性or女性の格好・行動を強要されるのが溜まらないストレス」と言うトランスジェンダーの人とかに対して聞きたいわけだけど。
例えば俺が、明日からスカート履いて女装しろと言われたとする。
ハッキリ言って、それはすげー嫌だ。
だが、嫌な理由は「周りから変な目で見られるから嫌」なのであり、むしろ女装していないと変な目で見られるのだとしたら、自ら女装すると思う。
たとえどんなに「あー俺は本当は男で、男はスカート履いたりしないもんなのに、この国が狂ってるから男の俺がスカート履いてないと変な目で見られる」と思ったとしても、スカートを履かないことで被るデメリット*1を考えたら、「ま、嫌だけど我慢するか」って感じでスカートを履き続けるだろう。
行動に関しても似たようなもので、さすがに周囲に合わせて恋愛対象を男性にするなんてことはしないけれど、口調だとか仕草だとかは「変に思われないように」気を付けて、男性的振る舞いをしないようにすると思う。
ようするに僕は今、「僕の性自認が絶対であり、それに適した行動を取っている」のではなく、「周囲の持つジェンダーの方を優先させて、服装や仕草を決めている」に過ぎない。
だから明日起きたら世界が一変していて、「男はスカート、女はズボン」という決まり*2になっていたら、戸惑いながらもそれに従うだろう。
っていうか、トランスジェンダーに限った話じゃないよね
例えば俺は、物凄いジブリ映画*3が好きだったり、ネコが好きだったり、あるいは昔FPSゲーマーだったり、薦められれば平気でエロゲをやれちゃうくらいにオタクだったり、中卒だったり、ハッタリだけの持論で誰かと議論するのが大好きだったり、三度の飯よりオナニーが好きだったりする。
言うなれば、そういうものが「本当の自分」だと思っている*4。
だが、普段の生活で、こういった「本当の自分」を晒しているだろうか？
答えはもちろん、否である。と言いたいところだが、無意識に晒していたり滲み出てしまっている場面もあって、変な目で見られているんだろうけれど、その話は割愛。
で、程度の差こそあれ、皆そうなんじゃないだろうか？
「人には見せられない一面」なんてのは誰にでもあって、「本当は俺はこういう格好・行動したくないけれど、変な目で見られたくないから場に合わせてやっておこう」的なシーンなんて、日常茶飯事だろう。
こんなことを言うと、TGの人からは「そんな苦しみとは桁が違うよ！ 自らのアイデンティティを認められない、自らが思っている性とは逆で見られ、そして生きていかなければならないというのは、とても苦痛なんだよ！」と言われそうだが。
しかし、そういう人が「自分は（本当は）男である」「自分は（本当は）女である」という点にアイデンティティを置いているから、その人にとってそれが重要なだけで、世の中には「自分が男であるかどうか、それこそ人間であるかどうかよりも、自分が○○を好きだという、その一点にこそ自分のアイデンティティがある」と考えてる人も、多分いるわけで。
そういう人にとっては、「○○を好きだ」と公言できない状況の方が、自分が本来の性とは別の性で扱われることよりも苦痛だろう。
誰でも大っぴらに公言できない趣味・思考みたいなモノを持っていて、思春期の頃なんてのはそれで悩んだりするんじゃないか。大人になるにつれ、似た趣味・嗜好の人を見つけたり、自らの趣味・嗜好を認めてくれる場を見つけたり、あるいは諦めたりしていくだけで。
要は程度問題であり、「性別」という比較的色んな人にとって重要なことで周囲の認識と自己認識との齟齬が生まれるのは大変だとは思うが、人によっては「性別」よりも大事なことがあったりするわけで、「本来の性と違う性で生活することを強要されるからTGは大変なんだ」みたいな論調は、なんかちょっとなぁ、と思うわけである。
誰だって、「本来の自分」と違う「よそ行きの自分」を被って生活することを、強要されてるんだから*5。
勘違いされると困るので追記
ここで言う「異性装」とは、「男が女の格好をする」「女が男の格好をする」という意味よりも、「性自認している性とは違う性の格好をする」という意味で使っています。
