パンを焼く為に家を燃やす馬鹿にはなりたくない

僕には勇気もやる気も無いので、パンを焼く火を得る為に、家を燃やす事は出来ません。


要はやる気がないんでしょ? - ここではないどこか


要するに、僕は今から、世にはびこるポジティブ教・あの頃の僕らはいつも全力主義者*1達と断固戦う為、このエントリを書いているわけです。

うどんを茹でたとき

先日、知人が僕の家で、うどんを茹でて食べようとした。
鍋に80%くらいの水を入れて、ヤカンには90%くらいの水を入れて沸かしていた。
鍋でうどんを茹で、その間にヤカンでお湯を沸かして、めんつゆの素を割って、かけうどんにするつもりだったらしい。
食べるのは二人。ヤカンに入っている水は、約1.8リットル。
茹でている麺は二人前。ヤカンに入っている水は、約1.8リットル。
それに気付いた次の瞬間、僕は激昂した。


20%で済む所を、120%目指すなんて、美徳じゃない。くたばれ全力少年


余ったお湯は、僕の怒りが収まると共に、暗いキッチンで冷たい水へと戻っていった*2

コーヒーを淹れて貰ったとき

先日、僕が「コーヒー飲みたい」と知人に漏らすと、知人はお湯を沸かしてコーヒーを淹れてくれた。
彼だって馬鹿じゃない。前回の教訓を踏まえ、二人分のお湯をヤカンで沸かすと、ペーパードリッパーでドリップし始めた。
抽出が終わったコーヒーを、二つのカップに注ぐ。
カップ受け取った時、僕は激昂した。
カップには、溢れんばかりにコーヒーが注がれていて、少しでも傾けようものなら僕の一張羅であるユニクロのシャツ*3に、コーヒーの染みが出来てしまうような状況だった。


70%で済む所を、表面張力の実験をするなんて、美徳じゃない。躓いて転んでたら染みが出来るんだ。汚れちまった僕のシャツ。


僕は猫舌だから、息を吹きかけて冷ましたいのだが、それすら出来ないほどだった*4

自転車レースの話

明日ランス・アームストロングが復帰したとして、復帰戦だからと80%で流して走ってるランスに、俺が筋肉痛で1週間はまともに歩けないどころか本当に死ぬ覚悟で、120%の力を出したって、勝てるわけないじゃん。
常識的に考えて。


マックススピードでゴールまでスプリントし続ける事の出来る選手なんていねーんだから、80%で流さないと、とてもじゃないけど長いツール、パリまで行けないよ?
ツール初日を120%で走ってステージ優勝すれば、翌日はその120%が100%でこなせるようになって、翌日も優勝だ! なんてのが可能だったら、鈴木だってツールを制してますよ。


そもそも「周囲に求められる成果」の100%と、自分の100%とは違う。人によっては20%の力で求められる成果の三倍も四倍もの結果を出す場合もあるわけで。

体力の話ではないということだけど

集中力にしたってなんだって、結局途切れる理由は「肉体の限界」なわけで。
そこを根性論で乗り越えて、限界越えて120%の力! なんてのは、限界越えて大リーグボールを投げ続けた星くん位だと思うけど、まぁ最後は彼も「ピシッ」といっちゃって壊れるわけで。


太く短くとか、細く長くとか、そういう人生観以前の問題として、「人間の体は100%の力を発揮し続けられるように出来ていない」というだけの話だと思うんだけど、どうなんでしょう。
それとも、やっぱり怯えてたら何も始まらないだけで、実際やってみれば最高速度を維持したまま走り続けられるもんなんでしょうか。死ぬぞ多分。


と、まぁ、冷静な判断力さえ持っていれば、どう考えても無理だとわかることを無理だと指摘しているだけにも関わらず、「要はやる気が無いんでしょ?」と言うような人に言いたい。


あの松岡修造ですら、全力でウィンブルドンを戦った後、全米オープンでは足が痙攣して失格でしたよ。
彼もやる気が無いんでしょ?

*1:注:僕にしか見えません

*2:実話です

*3:1980円もした! 僕の半年分の衣料代である。

*4:ちょっと嘘つきました