レベルと職業

で、悩みに関連して書くと、なんつーか、「悩みのレベル」みたいなもんを信じてる人と、そうでない人が世の中にはいると思う。
別に大それた話じゃなく、「合コンでどうやって女口説くかが悩みだなんて、低レベルな奴ら」という風に言われる「レベル」。
いわゆる仕事の解決方法とか、段階踏んでいく作業じゃなく、もっと普遍的な意味での「悩み」におけるレベルである。
「あいつらはレベルが低い」とか、「あの人はレベルが高い」とか。
何を基準にレベル判断してるのかはわからないけど、少なくとも、全ての人は多少なりと違うわけで、単純に比較なんてできねーっすよ。
全員が同じレースに参加してるならともかく、全員目的もルートも別々に、勝手気ままに生きてんだから。


かくいう俺も、最近若い人と話していたり、意見を聞いたりすると「ああ、やっぱ若いなぁ」とか思っちゃうんだけど、これよくないよなぁ。
マセてたせいで、十代くらいから同年代の人を「ガキだなぁ」とかずっと思ってたりもしたけど、でもね、違うんだよ、俺。
上とか下とかね、レベルが低いとか、その考え自体が違うわけよ。って頭ではわかってても、つい「若いなぁ」とか思っちゃうんだよなぁ。


何を言ってるかっつーと、すげーわかりにくい例えだけど、レベル50の戦士と、レベル5の魔法使い、どっちが上とは単純に決められないよね、って話。
普通に戦わせたらレベル50の戦士の方が強いけど、どうしてもメラが欲しい状況では、レベル5の魔法使いの方が役に立つし、魔法攻撃のみ許可とかの条件だったら、戦士はカスの役にも立たないし。
そうやって考えると「同じ職業において」のみ「レベルの上下」で「使える・使えない」を判断出来るわけだけど、じゃぁその分類って何よ? と。


厳密に見れば、個々の人間はそれぞれ違うわけで、レベル5の俺と、レベル99の誰かで、どっちが上だ下だって比較は出来ないわけである。
言うなれば、俺は「戦士」って職業かもしれないけど、その前に「俺」なわけで、その「俺レベル」とでも言うような物では誰よりも「俺」であり、俺を差し置いて俺以上に「俺レベル」が高いヤツはいないわけである。当然だが。
それと同じように、これを読んでるあなたの「あなたレベル」が一番高いのは「あなた」なわけで、「あなたレベル」が必要になった時、世の中の誰よりも上なのは、「あなた」なわけである。


例えばレベルを年齢で考えて、50歳のAさんが「Aレベル50の人間」、あなたが25歳の「あなたレベル25の人間」だとする。
ぱっと見、50レベルの人の方が上で、あなたは到底太刀打ち出来ない感じがするが、見方を変えれば、それぞれ職業が違うのだ。


Aレベル50の人のアドバイスが、必ずしも「あなた」という職業にも有効とは限らないし、Aレベル50の人が失敗した方法が「あなた」という職業においては有効かもしれない。
まぁもちろん、極力普遍化された、「一般的人間」って職業に当てはまるアドバイスもあるから、有効なアドバイスも多いけど、あなたが「一般的人間」って職業かどうかはわからないわけで。


だからなんか、最近流行の「あなたも頑張って」風エントリとして書くと、あなたは「あなたらしさ」なんて物を追求しなくても、ただ存在するだけで確固たる「あなた」であり、「あなたである」という一点においてあなたは確実に他の誰よりも抜きんでた存在で、「あなた」であるというそれだけで「あなた」は他の誰とも違う「あなた」なのだから、頑張って。ってなもんである。


なんだこれ。元々特別なオンリーワンってか。
ま、そうは言っても、オンリーワンなのは確かだけど、社会においては「あなたがあなたである」ことなんて重視されないし、あなたの「あなたレベル」より「あなたが使える戦士かどうか」、つまりあなたの「戦士レベル」の方が「あなたレベル」より重視されるから、別にオンリーワンだからって意味ないけどな。