ギャンブル

さて、それでも見誤ってはいけないのは、競馬の還元率は75%程度で、宝くじに至っては50%を割っているという点である。
ここに着眼せずにギャンブルをする人間を、僕はただお金を捨てて遊びたいだけか、致命的なまでに数学的素養のない人間だと考えている。
二十歳前後になるにつれ、競馬やパチンコなど、同世代の人間達の多くがギャンブルに手を出すようになる。お金を捨てるつもりで、遊びとしてギャンブルをやっている人間まで馬鹿にするつもりはない。
例えばゲームセンターでゲームをやるのと同じだろう。100円投入して遊ぶのと同じで、300円出して馬券なり宝くじなりを買って遊んでいるというだけの事だ。
パチンコに五千円使って時間を潰すのも、カラオケで時間を潰すのも、小説を購入して時間を潰すのも、非生産的な趣味の行為としては全く一緒だからだ。
もっとも消費金額と消費時間で見たコストパフォーマンスはそれぞれかなり違うが。ちなみに、競馬よりもコンピューターゲームの方が面白いとか、パチンコよりもカラオケの方が面白いなんてのは、個人の主観であり比較しても意味のない事である。
さてではどんなギャンブルを侮蔑するのかと言えば、それはもう完全に、遊びではなく「勝つ為に」やるギャンブルだ。
最初に述べたように、競馬の還元率は75%程度である。つまり、馬券を買った時点で確率的には投資額の75%しか戻ってこないのだ。
この還元率を考えれば、賭ければ賭けただけ親を得させるだけの博打である事が容易にわかりそうな物なのだが……。差別的な発言になってしまうが、馬券大量購入者などギャンブルで身持ちを崩す人間に低学歴の人間が多い理由の一端が伺える気がする。
付け加えておくと、75%という還元率を知りながら勝つ為にギャンブルをする人間を侮蔑するというだけで、競馬やギャンブルその物を否定するつもりはない。
例えば最終レースまで全レース楽しんだとして、入場料その他の金額や一レースの馬券購入額を1000円として還元率75%で考えると、一日競馬場でパドックやレースを見て遊んでも、かかるお金はせいぜい期待値で三千円程度である。半日遊園地に行って遊ぶのと似たような出費だ。だから、遊びとしてレースを見に行き極小額分だけ馬券を買って観戦するだけならば、競馬はそこまでコストパフォーマンスの悪い遊びではない。
(同様に朝から夕方までパチンコやカラオケ、ビリヤードなどの遊戯で遊んだ場合を考えればわかると思う)

夢を追いかけて宝くじを買うのも結構だが、懸賞五億円の宝くじを当てるつもりなら、確率的には十億円宝くじを購入した所でやっとイーブンになるという事実を忘れてはいけない、という事である。

かくいう僕も、宝くじを稀に購入するわけだが。