結びに再度『優駿』

面白かったと書いたが、これをもし数年前に読んでいたら同じようにそう感じられたかどうか疑問である。
遊びで小銭を賭けただけとはいえ競馬を体験し、目の前で馬が走る姿を見て、宮本輝の他の作品を読み、渡海博正の年齢より上になった今だからこそ、より面白く感じられたのかもしれない。
人と人がそうであるように、人と本にも出会うべき時があり、最高の時に出会える本もあれば、もっと前に、あるいはもっと後で出会っていれば、という本もあるだろう。
そう考えると、僕にとって『優駿』は十代で出会うには早過ぎた本だったのかもしれない。

注・学生は馬券の購入を禁止されています。