というわけでおとなり日記

文章を読むのが好きなので、他人の日記を読むのは楽しい。もちろんその日記の質によるが。
なまじ知っている人間の日記を読むより、知らない人間の日記を読む方が面白いのだ。
知っている人間の話はなにもウェブ上じゃなくても聞くことが出来るし、知ってる人間の文章は、常にその裏にその人が見え隠れしてしまって、ニュートラルな状態で読むことが出来ない。
丁度、大統領が人類愛を説くのと神父が人類愛を説くのとの違いと同じだ。語られる内容は同じであっても、語り手によってそれは全く違った形で受け取られる。
ところが全く知らない人の日記は、語り手の事を知らないが故に純粋に語られた内容のみを見ることが出来る(厳密にはそうもいかないが)。
その中で更に自分の書いた日記に出て来たキーワードと一致する割合の高い日記が読める、「おとなり日記」というシステムは、非常に興味深い(性格や年齢や出身地ではなく純粋に書かれた内容で選別されるという点において)。
しかも、使用しているキーワードが同じというだけで、その立場や書かれている内容は全く逆だったりするのもまた面白い。

インターネット上の匿名性というのは、医者も先生も弁護士も発明家も犯罪者も関係なく、書かれた内容のみによって判断されるという点を生み出し、それが貴重なのではないだろうか。
社会的立場や相手の容姿などを一切抜きにして発言内容のみを吟味できる場なんてそうそうありえないわけで、そういう点だけを見てもインターネットには利点があるなぁ、と。
それに対抗するのがmixiなどのソーシャルネットワークサイトであるはずなのだが、実際の所、匿名性の高さを払拭できずただの会員制コミュニケーションサイトと化してしまっているのは、非常に残念である。
これまでリアルと分化して利用されてきたネットを、リアルの傘下として利用するのがSNSの仕組みであり、他のサイトと異なる点だったはずなのだが、現状、ネットの世界の中にmixiの世界という小世界をつくっただけに留まっている。
ポータルサイト化したmixiは、Yahooやlivedoorが会員のみ閲覧可能になった物と何が違うのだろう?