結論を出さない議論

議決を取る場合はともかく、議決をとらない、ただ話し合うだけの議論というものも存在する。
その場合の目的は、「いかに自分と異なる意見を理解するか」「自分の意見が間違っているのはどこかを理解する」といったところだろう。


ある物事に対して自分がAという考え方を持っていても、議論を通して、他の人の意見を聞くことにより、意見が変わったり、また自分の意見で矛盾していた点を発見できることもある。
自分では思いつかなかったよりよい意見を聞けることもあれば、自分が一度破棄した意見に意外な利点があったことに気づけることもある。


そういう場合、議論の目的とは、相手の意見や考えを自分と同じにすることではない。
いわば意見交換し、各々の意見の弱い点や矛盾している点を指摘しあい、より良い意見とすることが目的である。


このタイプの議論が、とにかく欠けているのが、「日本人は議論に向かない」と言われる所以なのではないだろうか。
あなたに対する反対意見は、決してあなたに対する人格攻撃ではなく、双方が自らの意見を見せ合うことで、互いにより高みに登るための行為なのだ。