趣味と労働

よく、働かなくなったら人間は堕落するって言うけど、そういう人ほど、仕事以外の「やりたいこと」がないんじゃないかなぁ、と思う。極端に言えば、「金に繋がることしか興味ないタイプ」というかそんな感じ。
上で挙げた俺の「やりたいこと」は、もしかしたら一部は仕事だのお金だのに繋がるかも知れないけれど、別に繋がるからやりたいわけじゃなく、単純に趣味である。
他にも、時間があれば酒についてもっと詳しくなったり、毎週草野球したり、読んでない本をもっと読んだりと、ちょっと考えただけでも、したいことはいくらでもある。
働かないで良くなったら、これらの「したいこと」も消えてしまうのだろうか?
「仕事だから仕方なくやっている」だけで、「やらなくても良い」となったら、音楽やったり絵描いたりする人間はいなくなるのだろうか? クオリティだだ落ちの作品しか出てこなくなるのだろうか?


根本的な考え方の違いなんだろうなぁ。「人間」という存在に対する。
もう、性善説性悪説みたいなレベルでの。
俺自身は、人間にそこまで絶望してないっつーか、そこまで諦念感を持ってない。
「お金にしなきゃいけないから」って所で諦めてた部分が、「お金にならなくても自分のやりたいように表現する」みたいになって、むしろ面白くなるんじゃねーかなぁ、と。
自分が作った物が人に受け入れられたら嬉しいし、時間が有り余ってて明日のメシを心配しないで良い状況なら、じっくり時間をかけて自分が納得いくような物を提供出来るわけで、小説だの音楽だのの分野は無くならないんじゃないかなぁ。
「働かなくても良くなったら、CD出したり本出したりする人いなくなって、つまらないじゃん」と言われるけど、そうは思わない。
一銭にもならなくたって、すげー面白いブログ書く人はいるし、すげー面白い動画を投稿する人はいるし、すげー便利なソフトウェアを開発する人はいるわけで、むしろみんなが「働かなくて良い」という状況になることで、現在のコンテンツ消費者が全て生産者に変わり得るわけで。


テメーの趣味のために自前でゲームサーバー建ててたり、仕事の傍らフリーソフトとして1万回以上ダウンロードされるソフトを作ってたり、書籍化されちゃうほどのブログをずっと無報酬で続けてたりと、そういう人を身近に見てきたか、そうでないかという、文化の差みたいなもんなのかも知れない。


というわけで、なんとか存命中に、働かなくて良い世界が来ますように。*1

*1:自分が大金持ちになって働かなくて良くなるように、というわけではなく、なんつーか世界的に効率化と自動化が進みまくって、人間の仕事は週一回機械のボタンを押すだけ、みたいな